システムインテグレーターというビジネスは、他のビジネスをIT化することを支援するビジネスです。例えば、顧客へダイレクトメールを発送する。営業が今日どれだけ売り上げたか、どんな商品が売れたかをリアルタイムで知る。給料計算を1/10000の時間で行い迅速にキャッシュフローを知る。電子メールで海外からでも営業の報告を受け取る。このように、ITはITが無い時代からは想像もつかないようなことを可能にしてきました。
ITがまだ難しく専門性の高い時代においては、重宝されました。そんなことを可能にするのは、知らない人からすれば手品のように見えたかと思います。もちろん中の人である僕らからすれば詐欺のようなビジネスで膨大な利益を稼ぎだした企業はたくさん知っています。
IT技術は時間が経過し、進化するにつれて簡単になり、素人でもそこそこ使い物になるシステムが作れるようになってきました。専門性はじょじょに失われてきました。それにともない、からくりもみんなが知るようになりました。ソフトウェアを作る作業は本屋で本を買うまでもなく、インターネットにつながるPCが1台とやる気さえあれば、だれでも開発できる時代になりました。(誤解が無いよう、言っておきますが、それでも専門的な知識を必要とする分野はありますし、そういう需要は安定していて変わりません。)
IT化産業であるSI(システムインテグレーター)というのは人のふんどしで相撲をとる間接産業は、宿主であるクライアント企業が不景気になって、IT投資できないとなれば、いつでも真っ先に契約を切られてしまうリスクがあるわけです。景気に強い宿主をもっていれば不況を乗り越えられますが、たまたま景気に弱い宿主だった場合であれば、必要性がなくなってきていますから切られてしまうのです。一時期もてはやされたSIは、今はもっとも立場の弱い状況に立たされたといっても過言では無いと思います。
リーマンショック以来、新たな投資というものを企業ができなくなり、それにつられIT化がストップしました。当然SIは大打撃を受けている状況です。そしてまた景気が回復すればSI業界もうるおい始めるという見かたをしている人は多いですが、営業でユーザー企業をたくさんまわって話を聞いている私はそうは思わなくなりました。最初は私も景気の回復を期待していましたが、実際はそうではない現実があるように思います。「ITはあったらいいけど無くても困らない」ということを、今回の不況を受けて悩んだユーザー企業が解りつつあります。
実際に、こんなシステム誰が使うんだ?って思うような仕様に数百万円の見積もりで、その売上金で給料をもらってきた技術者やコンサルタントはいませんか?沢山いたと思います。実際僕もそうでした。本当にこんな簡単なことで200万も払ってもらえていいのかなあ?って思っていました。思い返せばそんな200万はバブルであって、実力で稼いだお金ではないのです。
ユーザー企業はそんな投資が無駄だった。高かったということに気が付いたのです。今回の不況は他産業においては通常の不況ですが、IT特にSI業界にとっては、再起不能に近い不況だと私は思っています。
IT化しなくても実際は困らなかった。ということにユーザー企業の皆様が気がつき始めたわけですから、景気が回復したからといって、いままで通りの仕事がSI業界にあるかといえば、そんな甘いことは無いと思います。
さらに、昨今は景気回復以前にコストカット、コストカットと言っている民主党にならい、ここ数年はコストカットが続くと思われるので、SIはこれから長い期間苦しい状況が続くと思います。
こういう時代はお金をなるべく使わず、本を買って勉強するか、新しいシステムをつくるなどをして数年後の景気回復に期待して備えるのが良策ではないでしょうか?今はおとなしく様子を見守りながら、次の時代にどんな事ができるのかをゆっくり考えたいと思います。